私は,現在,非結核性抗酸菌症の疑いがあり,肺の一部を手術することになりました.
経緯などは,こちらの記事を見てみてください.
今回は,私が手術前日に入院して,胸腔鏡下左肺舌区切除手術を受けてから,手術翌日の朝までの体験について紹介します.
と〜げ
同じように肺の胸腔鏡下手術をする予定の人が,参考になるように書いていきます.医療の専門家ではない普素人が書いているので,あくまで参考程度に読んでもらえればと思います.
手術・入院前準備
手術中や,手術後,入院生活で使うものを紹介しておきます.入院前に準備しておきましょう.
- 腹帯
- テープ式おむつ
- 尿とりパット
- バスタオル
- 曲がるストロー付きコップ
- 下着
- 履物
- ティッシュ
- 洗面用具
- 湯のみ
- スプーン
- はし
手術前日
手術の前日に入院しました.前日は,手術や手術後の説明を受けたり,同意書サインをする時間が多かったです.
入院(10:30 ~)
入院窓口で受付をして,看護師さんが迎えに来てくれて,病室に行きました.
まず,入院している人がするバンドを付けてくれました.ここには名前,生年月日,性別,バーコードが印刷しており,患者を識別できるようになっています.
説明
いろんな人が病室に来て,挨拶+説明をしてくれました.一つ一つ書いていきます.
担当看護師さん
担当の看護師さんが,患者1人1人に付きます.わからないことや術後の看護はこの人が中心にやってくれます.
ずっと同じ人が担当してくれるのかと思ったのですが,最初の3日以降は日替わりで担当者が変わっていきました.
リハビリ担当の人
リハビリテーション科の理学療法士の人が来て,術後にベッドの上で,姿勢を帰る方法や起き上がり方などを教えてくれました.また,術後は咳をするときに痛みを感じることがあるので,痛い部分を抑えながら咳をする方がいいことも言われました.
術後は基本的に毎日,一緒にリハビリをする予定だということも言われました.
術後すぐは安静ですが,術後1日目,2日目からは,むしろ動くことが大切だと言われました.肺を切除すると,切除した部分を埋めるように肺が広がるのだそうです.そして,動いた方が広がりやすくなるので,動くことが大切なのだそうです.
また,動かないと,腕や肩の可動域が狭まることもあると言われました.
あとは,パルスオキシメータで動脈血酸素飽和度の測定,血圧の測定,心臓の聴診がありました.またパルスオキシメータを付けながら,200mくらい病院内を歩き運動時の動脈血酸素飽和度の測定も行いました.
薬局の人
術後は,傷口の痛み止めの薬を飲むことになるという説明を受けました.また,術後に伺うということで,薬局の方は挨拶程度で,終わりでした.
呼吸器内科の先生
手術終了後は,薬による治療をしていくという説明を改めて受けました.
呼吸器外科の先生(執刀医)
手術をしていただく先生との面談で,明日の手術についての説明と同意書へのサインをしました.
簡単に箇条書きしておきます.
- 切除した部位は,1. 培養による菌特定の検査と 2. ホルマリンによる一般的に異常がないかの検査 をする.
- 手術後,菌の特定後に抗生剤を使うことになる.
前回の説明では,手術後すぐに全般的に効果がある抗生剤を使用する予定という説明でしたが,内科の先生との議論の結果,手術をして菌が特定して後に,その菌に効果がある抗生剤を使用することになったという説明を受けました. - 開胸手術になる可能性の話.
- 胸腔(肺ある空間)の壁に肺ががっちりとくっ付いている場合
- 血管や気管の損傷の危険が大きいと判断した場合
- 手術による合併症として,一番心配するのは,気胸(肺に穴があき空気が漏れて,空気が胸腔にたまる状態).10以上の可能性で発生.術後1か月後に発生した例もあるらしい.
- 切除した肺に穴が発生しないようにフィブリン糊製剤という血液パッチみたいなものを貼るとのこと.
そのため,血液の感染症の可能性も無くはない(今の所,フィブリン糊製剤による感染例はないが).
手術後にフィブリン糊製剤が原因で感染したかがわかるように,事前に血液検査によってHIVなどの検査をしておく(HIV以外はもうやっていたので,追加HIVもやる).手術後2,3か月後にまた血液検査を行い,感染がなかったかを確認する. - 術後1か月は激しい運動禁止.
- 切除した肺については直接見せることは感染防止のため,NG.写真で見れるとのこと.
まあ,こんな感じでした.この他は,以前に既に説明していただいている事項の確認でした.
麻酔科の人
麻酔の説明と,同意書へのサインをしました.
麻酔は2種類するとのことです.
- 硬膜外麻酔
背中にある脊髄をおおっている硬膜という膜の外側に麻酔薬を注入する麻酔です.ここに麻酔することで神経を一時的にしびれさせることができます.
背中に管を入れるときに,少し痛みがあると聞いていたのですが,硬膜外麻酔をする前に,痛みを和らげる空気を口(マスクみたいの付けられて)から入れてもらったところで私は寝てしまいました.
背中の管は,術後3日後に抜かれました.それまでは,痛み止めの投与に使われます. - 全身麻酔
点滴から麻酔薬が入り,眠くなります.
しかし,私の場合,硬膜外麻酔の前に記憶を無くしたので,全身麻酔の記憶はもちろんありません.
説明時間は,30分程度でした.手術時に担当する麻酔医の人が説明してくれました.
ICU看護師さん
手術した日とその翌日の朝までは,異常発生時に速やかに対応できるように,ICUの病室で過ごすことになるという説明を受けました.
ICUの病室は,完全に真っ暗にならないから少し眠りづらいかもという説明を受けました.
食事
私の場合,手術前の食事は2食(入院直後の昼ごはんと,夜ごはん)でした.
手術の前日9:00以降は禁止なので,夜ごはんに関しては,もしかしたら最後の晩餐になるかもしれないと思いながら食べました.
手術当日の手術前
手術は,9:10開始でした.
当日は7時ちょっと前に起きて,便を出すために,水を500mlくらい飲みました.
ちなみに,当日の7時以降は飲み物禁止です.
その後は,歯磨き,また,手術後に風呂に入れないことを考えて,頭を洗面所で洗い,体をタオルで丁寧に拭きました.
こんな感じで動いていたら,便が出ました.
手術後丸1日くらいは,ベッドで寝ている感じになるので,便をするときは,ベッドの上ですることになります.私は,これが嫌だったので,手術前に便を出すように頑張りました.
ゆっくり準備しているうちに,8:30になって,9:00くらいに先生が一瞬様子を見に来ました.
そのあと,パンツの上に手術用の服を着て,このようなソックスを穿きます.
手術中や術後は動かない時間が長いので,血の塊ができるのを防ぐために穿きます.
歩いて手術室に向かい,手術室に入ると,手術台の上に仰向けに寝て,タオルをかけてもらい,手術用の服を脱がされて,パンツ一丁になります.そして,昨日お会いした麻酔医の人が,硬膜外麻酔をすることを伝えられます.
しかし,硬膜外麻酔用の管を背中に入れる前に,痛みを和らげるための空気を口(マスクみたいの付けられて)から入れ始めたときに,私は意識を失いました.
なので,執刀医の先生にも会えていません.手術中何人の方が立ち会ったのかもわかりません.
手術当日の手術後
その後,手術は問題なく終わり,13:30くらいに手術台の上で,麻酔から覚めました.
名前,生年月日,場所を聞かれました.うっすらだけ覚えています.
次に,ICUの病室のベッドに移されたあとに,目を覚ましました.14:00くらいだったと思います.
たしか,看護師さんが,名前を読んで,声をかけてくれていたと思います.
そして,看護師さん2人から自己紹介をしていただき,簡単に,体に付いているものを説明してくれました.
体に付いているもの
背中の管
硬膜外麻酔に使った背中の管は,手術後も抜かずに,痛み止め(鎮痛剤)投与のためそのままにしてありました.
背中に細い管が入っています.直径1,2mmの本当に細い草です.
この管の先には,鎮痛剤のボトルと,流量を調節器などが付いています.
手の甲
左手には点滴(生理食塩液),右手には感染症予防の抗生物質を投与しています.
こちらが左手です.テープでしっかり固定して多少動いても痛くありません.ちなみに,写真の管の中が赤いのは血で,術後採血に使用したあとに残ったものです.
右手首
右手首の動脈にも針が刺さっています.確か,脈拍をモニタリングするためだったと思います(たぶん).
脇腹
脇腹には,ドレインと呼ばれる管が入っています.手術後の血が排出されるためにあります.
ドレインの写真は撮り忘れてしまいました.ドレインを外したあとの写真がこれで,青丸の中にドレインが刺さっていました.
他の絆創膏は手術の傷跡です.
尿道
尿道に,管が入っていて,おしっこは勝手に垂れ流しになります.手術後は,管が入っていることには気付きませんでした.でも動くとちょっと痛いので注意が必要です.
足
血栓ができないように,ソックスの上から,圧縮と除荷を繰り返すマッサージ機みたいなものが設置されています.
あとは,事前に準備していたオムツ,腹帯をしていて,バスタオルが被せてあり,その上に布団が被せてある状態でした.
術後から翌日朝まで
手術が終了して,麻酔から覚めてから,翌朝までの約21時間が一番辛かったです.理由は大きく以下3つです.
- 動けない
体に色々な管が入っているし,動くと傷口が痛むので,基本的に自分では動けません.特に,左の脇腹に傷があるので,左手は動かせませんでした. - 寝れない
床ずれ防止のため2時間ごとに体制を右向き→左向きというふうに傾けるので,2時間ごとに起こされてしまうという状態です. - 長い
手術の麻酔から覚めてから,21時間は完全ベッドの上です.長いです.最初の数時間は心地よく眠れたのですが,朝型は動けないし,寝たり,起きたりで辛かったです.
もう朝かと思い,時間を聞くと,夜中の1時と言われたときは,きつかったです.
2時間ごとの体制の変更時には,看護師さんが傷口周辺に皮下気腫があるのかをチェックしてくれます.皮下気腫とは,皮膚の下に空気が入り込んで,触るとブヨブヨするものです.手術後は発現するのは一般的ですが,範囲が広がるとマズイこともあるのでチェックしているようです.
痛みについては,基本的に,常時,背中の管から,痛み止めは投与されているので,動かなければ痛くはありません.
しかし,たびたび痛くなることがあり,そのときは,看護師さんに伝えて,背中の管から痛み止めを新たに投与(通常時よりも量を増やす)してくれました.痛み止めの効果は抜群で,投与から30秒くらいで痛みが和らいでいくのがわかるほどでした.
痛み止めの投与によって,常になんとなく,眠い状態は続きました.新たに投与すると,一気に眠気が襲ってきて眠ることができました.
新たの投与は,2,3回やってもらったと思います.
長い夜が終わり,翌朝(7:00くらい)になると,朝ごはんにおかゆとかが出ました.
意外にも,食欲があり,ほとんど食べることができました.
その後,10:00くらいに,尿の管を抜かれました.そして,下を洗われました.
抜く瞬間に,おしっこが逆流するような感じがしてちょっと痛かったです.ただ,思っていたほどではなく,一瞬だったので全然大丈夫でした.
そして,右手の点滴と,動脈の針を抜かれました.動脈は針を抜いたあと血が吹き出さないように5分間ほど抑えられました.
11:00ごろに,ICUの病室から,一般の病室に移されました.ベッドを移動するときは看護師さん数人で私の体を持ち上げてくれました.
部屋は個室でした.手術後の病人は個室を使わせてくれるようです(無料).
以上,手術翌日から退院まで編へ続く!
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はじめまして、と~げさん。実は、10月30日に今後の培養で、手術をする方向でと、言われ、とても不安で、パソコンで検索をしまして、と~げさんのブログにたどり着いたのです!とても、詳しく説明くださっていて、助かりました!感謝です。
質問ですが、清瀬の病院での手術でしたか?私は、やはり色々と調べて清瀬になりました。ですが、私の場合は、先ずは、1~2か月の入院から始まるみたいです。極力、点滴で、細菌を抑えて、それからの手術です。
また、手術後の社会復帰は、退院後時間がかかるのでしょうか?
ゆっくりで結構ですが、お聞き出来たら嬉しいです。どうぞ、よろしくお願い致します。
こんにちは,くーこさん!コメントありがとうございます.
私が手術した病院は,清瀬の病院ではありません.
手術後の社会復帰がどのくらいかかるかについては,手術内容と仕事によって変わると思います.私の場合は,胸腔鏡下手術で傷口も小さかったため,退院後の日常生活で困ることは特にない状態です.ただし,重いものを持ったり,激しく動くことはできません.なので,体を動かすような仕事だと,退院後すぐに復帰するのは難しいと思います.
くーこさんの場合は,先ず1,2か月入院ということで,私のケースとは違うようですが,私の体験が参考になるようであれば,質問してください.私にわかる範囲で,お答えさせていただきます.
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細かい手術の内容を説明有難うございました。私はカルホルニアに在住、Nurse Practitioner(患者の診察にあたる職業です)、MACの患者でもあります。VATSという似た手術で、右中央の肺摘出を3月にコロラド州の大学病院でおこないました。主治医は呼吸器で米国で一番のNational Jewish Healthの医師のひとりです。私の手術は、1時間30分ほど、入院2日、手術翌日歩行開始、一週間ほどで、カルホルニアの自宅に帰宅しました。5月
には、ダラスでのNTMのカンファレンスに参加しました。Facebook “NTM awereness”で、米国での情報など載せています。ぜひ、ご覧ください。
Tifa2021さん、コメントありがとうございます。
facebookのNTM awarenessを見てみます。
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