民泊をしたいけど、自動火災報知器のような高額な設備が必要な場合もあるらしい。。。民泊新法による届出住宅で民泊をやる際に、必要な消防設備を知りたい!
こういった声に答えていきます。
私自身、届出住宅で民泊をやる上で、どんな消防用設備が必要になるのかを調べました。わからないときは、消防署の人に聞いたりもしました。その経験を元に説明していきます。
※届出住宅とは、民泊新法で届出された民泊施設のことです。
と〜げ
今回の内容は主に、消防庁が出しているリーフレットを参考にしています。
参考サイト:民泊における消防法令上の取扱い等について
消防法令上の用途を知ろう
届出住宅で民泊をするとき、どんな消防用設備が必要か?
それは、届出住宅の消防法令上の用途によって異なります。用途とは、その建物が何に使われるかということです。用途は消防法施行令別表第1にまとめられています。
映画館、ホテル、共同住宅などの用途によって、必要となる消防用設備が変わってきます。
なので、必要な消防用設備を知るためには、まず、民泊をする住宅が上の表の中のどの用途に当てはまるのかを調べましょう。用途は、一戸建て/共同住宅、宿泊室の床面積や、家主の居住の有無などによって決まります。
一戸建てで民泊をする場合と、共同住宅で民泊をする場合において、住宅がどの用途になるのか?について見ていきましょう。
一戸建て住宅で民泊を行う場合
まず、民泊をする住宅において、家主が不在となるか、不在とならないかによって変わってきます。
家主が不在となる場合(:一戸建てのまるまる全部を民泊として貸す場合)は、建物用途は『(5)項イ:旅館、ホテル、宿泊所その他これに類するもの』となります。
家主が不在とならない場合(:家主も一戸建てに住み、一部を民泊として使う場合)は、宿泊室の床面積の合計によって用途は以下のようになります。
- 宿泊室の床面積の合計が50m^2を超える場合
→ 『(5)項イ:旅館、ホテル、宿泊所その他これに類するもの』
- 宿泊室の床面積の合計が50m^2以下の場合
→ 『一般住宅』
消防法施行令別表第1には記載のない『一般住宅』という用途になります。設置しなければいけない消防用設備がほとんど必要ありません。
図にまとめるとこんな感じです。
共同住宅で民泊を行う場合
共同住宅の場合は、棟(建物全体)の用途によって必要な消防用設備が決まります。棟の用途は、住戸の用途を元に決まります。住戸とは、アパートやマンションなどの共同住宅の住居の1戸のことです。
まず、住戸の用途を考えます。上記の一戸建ての場合と同じです。
家主が不在となる場合は、建物用途は『宿泊施設(5)項イ』となります。
家主が不在とならない場合は、宿泊室の床面積の合計によって以下のように異なります。
- 宿泊室の床面積の合計が50m^2を超える場合 → 『宿泊施設(5)項イ』
- 宿泊室の床面積の合計が50m^2以下の場合 → 『一般住宅』
次に、住戸の用途の情報を元に、棟の用途は以下のように決まります。
- 棟の中の9割以上の住戸が宿泊施設((5)項イ)の場合
例えば、10の住戸があるアパートにおいて、9の住戸の用途が宿泊施設((5)項イ)の場合
→ 棟の用途:宿泊施設(5)項イ
- 棟の中の9割未満の住戸が宿泊施設((5)項イ)の場合
例えば、10の住戸があるアパートにおいて、3の住戸の用途が宿泊施設((5)項イ)の場合
→ 棟の用途:複合用途(16)項イ
- 棟の中の全ての住戸が一般住宅の場合
→ 棟の用途:共同住宅(5)項ロ
共同住宅で民泊をする場合、自分の住戸だけではなく、他の住戸の用途によって、棟の用途が決まるというのがポイントです。
建物用途ごとに必要な消防用設備
では、建物の用途がわかったので、その用途ごとに必要な消防設備を確認していきましょう。
一般住宅の場合
建物の用途が一般住宅の場合における必要な消防設備は、住宅用火災警報器のみです。非常に安価な投資で済みます。
設置位置は、寝室となります。
Panasonic 住宅用火災警報器 SHK38455*2 クールホワイト
共同住宅(5)項ロの場合
建物の用途が宿泊施設(5)項イの場合、必要な消防設備は以下のようになります。
消化器の設置について
以下2ケースにおいて必要になります。
- 建物の延べ面積150m^2以上
- 建物の地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50m^2以上
参考サイト:延べ面積とは?1分でわかる意味
自動火災報知器設備の設置について
建物の延べ面積が500m^2以上の場合に設置が必要になります。ただし、延べ面積500m^2以上の共同住宅には自動火災報知器設備を設置する義務があるため、既に設置されているはずです。新たな設置は必要ありません。
延べ面積が500m^2未満の場合については、延べ面積が300m^2以上で、民泊部分が10%を超える場合は、自動火災報知器の設置が必要です。それ以外の場合は民泊部分のみの設置でOKです。
住宅用火災警報器の設置について
自動火災報知器設備があれば設置する必要はありません。
誘導灯の設置について
地階・無窓階・11階以上の階には必要です。
スプリンクラーの設置について
11階以上の階には必要です。
以下表に、ここまでのまとめと、消防用設備等の点検報告、防火管理、防火物品の使用についてまとまっています。確認ください。
共同住宅(5)項イの場合
建物の用途が共同住宅(5)項イの場合、必要な消防設備は以下のようになります。
消化器の設置について
共同住宅(5)項ロと同じです。以下2ケースにおいて必要になります。
- 建物の延べ面積150m^2以上
- 建物の地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50m^2以上
自動火災報知器設備の設置について
設置が必要です。
ただし、延べ面積が300m^2未満の場合、特定小規模施設用自動火災報知器設備の設置が可能です。
特定小規模施設用自動火災報知器設備は、電池式のため電源の配線工事が不要だったり、無線式のため感知器間の配線工事が不要だったりするので、通常の自動火災報知器設備よりも安価に設置することができます。
住宅用火災警報器の設置について
必要なし。
誘導灯の設置について
必要です。
スプリンクラーの設置について
11階以上の建物には必要です。また、延べ面積が6000m^2以上の建物にも必要です。
以下表に、ここまでのまとめと、消防用設備等の点検報告、防火管理、防火物品の使用についてまとまっています。確認ください。
複合用途(16)項イの場合
建物の用途が、宿泊施設(5)項イと共同住宅(5)項ロからなる複合用途(16)項イの場合、必要な消防設備は以下のようになります。
消化器の設置について
以下2ケースにおいて必要になります。
- 延べ面積150m^2以上
宿泊施設(5)項イ、共同住宅(5)項ロのそれぞれの面積で判断します。 - 建物の地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50m^2以上
自動火災報知器設備の設置について
延べ面積が300m^2未満の場合、(5)項イ部分のみに設置が必要です。この場合は、特定小規模施設用自動火災報知器設備の設置が可能です。
また、(5)項イ部分の延べ面積が300m^2以上500m^2未満の場合は以下のようになります。
- 建物全体の面積の10%を超える場合
→ 建物全体に自動火災報知器の設置が必要 - 建物全体の面積の10%以下の場合
→(5)項イ部分のみの設置でOK。特定小規模施設用自動火災報知器設備の設置が可能。
建物の延べ面積が500m^2以上の場合は、用途関係なく建物全体に自動火災報知器設備が必要です。
住宅用火災警報器の設置について
自動火災報知器設備があれば設置する必要はありません。
誘導灯の設置について
必要です。
スプリンクラーの設置について
11階以上の建物には必要です。また、(5)項イ部分が3000m^2以上の建物にも必要です。
以下表に、ここまでのまとめと、消防用設備等の点検報告、防火管理、防火物品の使用についてまとまっています。確認ください。
民泊で必要な消防用設備を知る上での注意点
民泊で必要な消防用設備を知る上で、基本的な知識としてはここまで書いた内容で十分だと思います。しかし、すべてをカバーできている訳ではありません。
なので、消防署に相談に行きましょう(事前に電話しておくと良い)。そして、以下内容を確認しましょう。
- 民泊予定の建物の用途
- 必要な消防設備
- 設備の設置位置や方法など
このとき、民泊をする予定の建物の図面があるとスムーズです。少なくても、建物の延べ面積、自分の住宅部の床面積、宿泊室の床面積を確かめておくと良いです。
その後、民泊に必要な消防用設備の設置が完了したら、消防法令適合通知書が必要になります(民泊の届出の際に提出を求められます)。消防法令適合通知書の請求方法などは以下記事を参考にしてください。
関連記事:民泊における消防法令適合通知書の申請から交付までの流れを紹介
まとめ
- 民泊に必要な消防用設備を知るには、
- まず、建物の用途を知る
- そして、用途ごとに必要な消防用設備を知る
- 詳しく知りたいことや、疑問があったら、消防署に相談をしよう。
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