たまには,映画でも観てみようかと思い,amazon primeで『セッション』という映画を観ました.
今回は,映画『セッション』の感想について書きます.
『セッション』のあらすじ&総合評価
あらすじ
名門音楽学校へと入学し、世界に通用するジャズドラマーになろうと決意するニーマン(マイルズ・テラー)。そんな彼を待ち受けていたのは、鬼教師として名をはせるフレッチャー(J・K・シモンズ)だった。ひたすら罵声を浴びせ、完璧な演奏を引き出すためには暴力をも辞さない彼におののきながらも、その指導に必死に食らい付いていくニーマン。だが、フレッチャーのレッスンは次第に狂気じみたものへと変化していく。
総合評価
と〜げ
2015年アカデミー賞3部門(助演男優賞J・K・シモンズ,録音賞,編集賞)受賞した作品です.
- 楽しめる度:
- 鳥肌立つ度:
- 感動する度:
終始緊張感のある映画です.クスッと笑えたり,笑い合うような和やかなシーンは一切ありません.突然人が死んだりするんじゃないかと思うほど,常にピーンっと張り詰めた空気の中,ストーリーが展開していきます.
この映画を観る前は,厳しいけれど本当は愛情深い先生と生徒の物語で,お互いぶつかりながらも理解し合うような美しい師弟愛を描いた作品かと思っていました.しかし,違いました.
そんな生易しいものではありません.狂気的な作品です.
『セッション』のここが良かった!
フレッチャーの狂気的指導に,ニーマンが狂気的に食らいついていくところが良かったです.そこが一番の見所かと思います.
フレッチャーの指導は,厳しいなんてものではありません.生徒に対して,差別的な言葉を容赦なく浴びせ,生徒の弱い部分をエグるような酷い言葉を浴びせ,物を投げたり,暴力を振るったりして指導します.
この指導は,パワハラを超えて,もはや犯罪です.現代社会でこのやり方を肯定する人はいないでしょう.
しかし,その指導に食らい付いたニーマンは,狂気的にドラムの練習をして,ラストシーンで,フレッチャーに対して,挑戦的な姿勢で狂気的なドラム演奏をします.
ニーマンは,どこか気が弱いところがある青年でしたが,ラストシーンでの彼は,取り憑かれたような狂気じみた目をしており,人を殺しかねないような恐ろしさを感じるほどのドラム演奏をします.
フレッチャーの指導は完全にアウトで肯定されるべきではない.だけど,フレッチャーなしで,ラストシーンのニーマンの演奏を引き出すことができたか?と問われると,答えはNoといいたくなります.
間違いなく,ラストシーンのニーマンのドラム演奏を引き出したのは,フレッチャーだと思います.
最近は,スポーツ界などで,パワハラや暴力が問題になっており,パワハラや暴力による指導はアウトというのが世の中の流れです.私もこの流れには完全に賛成です.しかし,狂気的指導の中でしか,生み出されないものもあるんじゃないか?と考えてしまう作品でした.スポーツの世界と,音楽の世界はまた違うのかな?とも思いました.
『セッション』で印象に残ったセリフ・シーン
英語で最も危険な言葉はこの2語だ,”グッジョブ(Good job)”
ニーマンとフレッチャーがバーで話すシーンにおいて,フレッチャーがなぜ自分が厳しい指導をするのかを語るシーンがあります.
そこで,フレッチャーは,『世の中甘くなった,ジャズが死ぬわけだ』,『私は皆を期待以上の所まで押し上げたかった』と持論を語ります.偉大なジャズ奏者チャーリー・パーカーが,バカにされ笑い物にされたのを機に,練習に没頭したことで偉大なジャズ奏者になったことを例にあげて,もし,チャーリーが”グッジョブ”と声を掛けられていたら,彼は満足し,今の彼は生まれていないという話をします.
その話をしているときに,フレッチャー言ったのが,『英語で最も危険な言葉はこの2語だ,”グッジョブ(Good job)”』です.
ラストシーン
ラストの演奏シーンでは,ほとんど言葉はありません.演奏オンリーです.
最後で,ニーマンが吹っ切れて,フレッチャーの指示を無視しながらも,狂ったようにドラムを叩き続けるシーンは圧巻です.ニーマンのドラム演奏と,フレッチャーの表情のみで表現されていて,言葉などいらないシーンです.
『セッション』はこんな人にオススメ
『最近,極限状態や緊張状態での勝負をしていないなあ〜』というような人におすすめです.
私自身,現在は,自由気ままな生活を送っていて,緊張したり,自分を極限まで追い込んだりするようなことはありません.というか,人生において,本気で何かをやったという経験がないような気がします.
『一生の内で,一度は何かに本気で狂いたい!』と思わせてくれた映画でした.
Amazonプライムで観れます
映画『セッション』は,amazon primeで観ることができます.