非結核性抗酸菌症かも?発見から手術決断までのことを書いてみる

この記事にアクセスしてくれた人は,非結核性抗酸菌症について知りたい人だと思います.

私は,現在,非結核性抗酸菌症に感染している疑いが高く,今度,手術をすることになりました.

私自身,当初は手術のようなおおごとになるとは思わなかったので,とても不安を感じていました.そして,ネットで非結核性抗酸菌症について調べました.

しかし,病気自体の医学的な情報はあるものの,実際にこの病気にかかって,治療や手術をした患者側の体験談みたいなものはなく,どのように非結核性抗酸菌症に向き合うべきか迷いました.

私と同じように非結核性抗酸菌症にかかっている人や,身近な人がかかったりした人に,参考になるように,非結核性抗酸菌症について紹介していきます.

私の体験を時系列で紹介していきます.

と〜げ

あくまで私の例なので,鵜呑みにせず,うまく参考にしてください.

と〜げ

また、私は非結核性抗酸菌症の疑いは高いけれど、完全に断定はされていないことをお忘れなくお願いします。  

発見 – CT画像に白い影

まず、なぜ非結核性抗酸菌症の疑いをかけられるに至った経緯(発見)について説明していきます.

それは6月のことでした.

胸周辺に痛みを感じて,近くの病院に行ってみると,原因を調べるために大きい病院でCTを撮影することになりました.

(ちなみに,この痛みは庭仕事の疲労によるもので,非結核性抗酸菌症とは関係ないものでした.)

と〜げ

CTは,Computed Tomographyの略で,人体の輪切り画像の撮影をする装置です.

CT撮影の結果,肺に白い影があることがわかりました.そして,非結核性抗酸菌症の疑いがあるという診断をされました.

そして詳しい検査のため,大きい病院の呼吸器内科を受診することになりました.

呼吸器内科を受診

呼吸器内科で言われたことは,非結核性抗酸菌症の疑いは高いが,結核の可能性や,もしかしたら肺がんの可能性も低いがゼロではないということでした.

そして,2つの検査をしました.

  • 血液検査
  • 痰の中に菌特定検査

血液検査の結果は,特に異常はないということでした.また,T-SPOTという項目は陰性でした.T-SPOTは結核に感染しているかどうかがある程度わかる検査です.

とりあえず,結核の可能性は低そうということがわかりました.

次に,痰を出して,非結核性抗酸菌症があるかどうかを調べる検査をしました.菌を培養するため,結果が出るまで数週間かかりましたが,菌は見つかりませんでした.

菌が見つからなかったから,「非結核性抗酸菌症ではありません!」というわけではありません.私の場合,痰が出なかったので見つからなかったと思われます.

一般的に,痰の中に非結核性抗酸菌を特定できると,非結核性抗酸菌症と診断されます.この検査で2回以上同じ菌が出ると

結局,検査結果から,何かの病気だという結果は出ませんでした.そして,様子を見ましょうということで経過観察になり,2か月後に再度CT撮影することになりました.

非結核性抗酸菌症とは

非結核性抗酸菌症との疑いがあると聞いてから,ネットで非結核性抗酸菌症について調べた情報を箇条書きで紹介しときます.

  • 結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる病気.
  • 結核とは異なり,人から人への感染はない.
  • 病気にかかる人は女性が多い傾向があり,年々増加している.
  • 非結核性抗酸菌は土や水などの環境中にいる菌.
  • 主に浴室や土を扱う作業で空気中にただよう非結核性抗酸菌を吸い込むことにより感染すると言われている.
    ※これについては詳しくわかっていないと私の主治医は言っていました.
  • 菌の種類は150種類以上あり,非結核性肺抗酸菌症の80%がマック菌,次に多いカンサシ菌が10%程度.
  • 症状はないことも多い.せき,たん,血たん,だるさ,発熱,寝汗,体重減少が発生することもあり.
  • 症状がないので,CT検査やX線検査で偶然見つかることが多い.
    ※まさに私はCT検査で偶然見つかりました.
  • 抗生剤による治療が一般的で,1年〜2年の間薬を飲み続けることになる.
  • 抗生剤があまり効かない場合が多い.
    ※重篤な病気ではないため,薬の開発があまり進んでいないという側面もあるそうです(とある医学生談).
  • 病変が限局(かたまっている)場合は,切除をすすめる場合もある.しかし,手術=完全に治療終了 というわけではなく,切除により菌の量を減らして薬を効きやすくすることが大きな目的である.
参考 非結核性抗酸菌症日本呼吸器学会 参考 非結核性抗酸菌症北海道医療センター

白い影の拡大,そして気管支鏡検査へ

2か月後のCT撮影の結果,1~1.5倍ほどに白い影が拡大していることがわかりました...

そして,医者から勧められたのが,気管支鏡検査です.

気管支鏡検査は,胃カメラの気管支・肺バージョンです.管を,口から入れて,気管支を通して,肺までいれます.そして,先端についた鉗子(かんし)で,病変部(私の場合,肺ん白い影)の一部(組織)を採取して,採取した組織から病変が何かを調べる検査です.

出典:一般社団法人 に日本呼吸器学会

私の場合は,白い影の部分の一部を採取して,非結核性抗酸菌症の菌を特定することが目的です.

この気管支鏡検査については過去に記事を書いています.詳しくはこちらを見てください.

気管支鏡検査の結果としては,菌の特定できませんでした.白い影の部分の一部を採取しても,菌の量が少ないと特定できないこともあるようです.

しかし,採取した病変の病理検査の結果,肉芽腫なるものが見つかりました.肉芽腫は簡単に言うと細胞の炎症的なもので,非結核性抗酸菌症の場合によく見られるものです.

よって,気管支鏡検査によって,非結核性抗酸菌症の疑いがまた高くなりました.

手術をすすめられる

気管支鏡検査で菌の特定ができずに,次に医者から言われたのは,白い影の部分を切除する手術をしてはどうか?ということでした.

そこで,これまでお世話になった呼吸器内科の先生から,呼吸器外科の先生へバトンタッチして,話を聞くことになりました.

現状把握

まずは,手術の話の前に肺の白い影の正体として,何が考えられるのか,その可能性,その理由について先生に質問させていただきながら,整理しました.

以下の5つが肺の白い影の正体の可能性があるということでした.

  • 非結核性抗酸菌症(NTM)
  • 結核
  • 結核腫(結核の菌が少ないもの)
  • サルコイドーシス(全身に肉芽腫ができる病)
  • 癌(がん)

それぞれについて説明していきます.

非結核性抗酸菌症の可能性が最も高い+その理由

  • CTの白影の形が非結核性抗酸菌症の特徴と合致(白い影の周りに小さな白影がある).
  • 非結核性抗酸菌症は肺の舌区,中葉にできやすい.今回の白い影は舌区にあり,非結核性抗酸菌症の特徴を満たしている.
  • 肉芽腫があるという非結核性抗酸菌症の特徴を満たしてる.(肉芽腫は気管支鏡検査で採取した検体から,顕微鏡で確認)

結核の可能性は低い+その理由

  • 結核は,肺の上大区域,下葉の先端にできやすいが,今回は,舌区にある.
  • 結核におけるCTの白影の形の特徴は,白影の中に空洞があることが多い.しかし,今回は,空洞がない.
  • 血液検索の結果(T-SPOTの結果)が陰性.

結核腫の可能性はある+その理由

結核腫とは,結核の菌が少ないバージョンみたいなものらしいです.非結核性抗酸菌症と特徴が似ているため,結核腫である可能性はあるということでした.

サルコイドーシツの可能性が低い+その理由

  • リンパ節が腫れる,不整脈などの症状が見られない.

癌(がん)の可能性が低い+その理由

  • たばこを吸わない.
  • 年齢的にまだ若い.
  • 血液検査結果.
  • 気管支鏡検査で癌細胞が見つかっていない.

という感じで,現状を把握することができました.

手術について

まず,非結核性抗酸菌症の疑いが高いです.通常,非結核性抗酸菌症の場合は,抗生剤による治療が一般的です.しかし,菌が限局(一箇所にかたまっている)場合は,切除をすすめることも一般的だそうです.

また,手術して終わり!ではなく,あくまで,そのあとに飲む抗生剤の効果を高めるのが目的ということを言われました.菌の数を切除手術により減らすことで,抗生剤の効果が高まるそうです.

私の場合は,菌の特定もできていないため,切除して菌を特定することも手術の目的だという説明をされました.

手術は,「胸腔鏡下左肺舌区域切除」という名前です.

昔は,肺の手術は開胸手術という,ガバッと胸を開いて,直接肺を見ながら手術する方法がとられていました.しかし,現在では,傷の大きさが小さく済んで患者への負担が小さい胸腔鏡手術が一般的です.

胸腔鏡手術は,数センチ切開を数カ所して,そこからカメラや手術器械を挿入して,カメラで撮影した画面を見ながら,手術器械を使って,切除するという手術です.

参考 胸腔鏡手術とはどんな手術法なのか会津中央病院

切除する場所は,左肺の舌区という部分です.肺の一部が無くなるので,肺機能としては,10%ちょっと低下してしまいます.

手術時間は4~5時間(+前後1時間が全身麻酔),術後10~14日で退院できるということでした.

 

私としては,手術をするという思いがけずに大きな話になってきたので,その場で結論を出さずに,セカンドオピニオンを受けることにしました.

手術のすすめからセカンドオピニオン,そして手術を決断

セカンドオピニオンについては,過去記事で書いています.受け方の流れについてはこちらを読んでください.

セカンドオピニオンを受ける病院は,ネットで調べました.非結核性抗酸菌症についての記述が詳しいホームページを持つ病院を選びました.

セカンドオピニオンの結果として,ファーストオピニオンの結果と同じ診断でした.同じように,手術を勧められました.

私が行ったいくつかの質問と医者の回答を箇条書きで紹介します.

  • ファーストオピニオン(胸腔鏡下左肺舌区域切除)の妥当性は?
    → 妥当といえる.影が限局していて,年齢的にも若いから手術をすすめる.
  • 手術の前に抗生剤治療をするという選択肢は?
    → 今回は,菌が特定できていないので,切除により菌が特定されてから本格的な抗生剤治療をするべきである.また,抗生剤の治療は長期間かかる上に,効果が小さいので,効果を高めるためにも切除をすすめる.
  • 手術の難易度はどのくらい?
    → 難易度は低い.死亡につながる可能性は極めて低い.合併症としては気胸などが考えられる.
  • 切除について舌区切除ではなく,舌区の部分切除をする選択肢については?
    ※私がネットで見つけた文献によると,『区域をすべて切除するのではなく,区域の一部を切除するという手術をした方が,肺機能の低下を抑えられるし,術後の回復も早い』と書いてあったので,それについての質問.
    → 舌区は非常に小さい区.部分切除すると,肺に残った部分が正常に機能しないリスクがある.舌区の場合は,舌区すべてを切除することをすすめる.
  • 切除すれば,菌を特定できるのか?
    できる可能性は高い.気管支鏡検査では,病変の一部を採取したので,菌の量が少なくて特定できなかった.切除すれば,単純に菌の量が増えるので,特定できる可能性は高くなる.
  • 自然治癒の可能性はあるのか?
    → 可能性は低い.大きさの増減はあるが,完全になくなることはまずない.

という感じでした.

私としては,以下のことから,手術を決心しました.

  • ファーストオピニオンとセカンドオピニオンの診断が一致していた.
  • 自然治癒の可能性は低く,菌が完全になくなることはない.そして,いつ大きくなるかもわからない.
  • 切除により,菌が特定できる可能性が高い.
  • 舌区の切除で10%ちょっとの肺機能の低下にとどまる.
  • 手術のリスクが小さい.
  • 抗生剤だけでは,効果が小さい.

このまま,何もしなかったときに,

肺の白い影が大きくなり,症状が出てきて,抗生剤が効かない.そして,切除手術するとしたら,舌区だけではなく,もっと広範囲に肺を切除しなくてはならないとなるリスクを考えて,

今,手術することにしました.

手術前のCT撮影で手術範囲が正式に決定

私の場合,手術はセカンドオピニオンを受けた病院ですることにしました.

病院を移って最初の診察では,手術についての説明を受けました.今後,CTを撮って最新の状態を把握して,手術範囲を正式に決定するとのことでした.

CTの結果,白い影が拡大していた場合手術範囲が大きくなる可能性があること,また,肺に繋がる血管の位置によっては舌区だけでなく上葉まで切除する可能性があることも伝えられました.

上葉まで切除すると,肺機能が30%低下することになるので,かなり不安になりました.CTを撮ってから結果が出るまでの1週間はかなり怖かったです.

結果的には白い影もほんの少し拡大していた程度で,血管の位置も問題なく,当初の予定通り舌区切除に決定しました.

その後,血液検査と心電図をとって1週間後に入院,手術をすることとなりました.

 

手術編へ続く

4 COMMENTS

ラベンダー

と〜げ様
サイトとても詳しく書いてあり読ませていただきました。手術はどちらの病院でされましたか?私も現在京都在住、2013年に画像から非結核性抗酸菌と診断され経過観察中です。痰は採取できず、菌の培養は行なっておりません。現在通院中の主治医からも積極的な治療方針を示されず、不安な毎日を過ごしております。セカンドオピニオンを取りたいのですが、どこに行けばいいのか迷っています。

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と〜げ

ラベンダーさん,コメントありがとうございます.

私の場合,『非結核性抗酸菌症』とネットで検索して,上位にある病院のホームページを見て,非結核性抗酸菌症について詳しく書かれている病院で,セカンドオピニオンを受けました.そして,その病院で手術を受けることにしました(県外の病院).

私が手術することになった大きな理由は以下です.
・菌の特定ができていない
・病巣が限局(一箇所にかたまっている)
・年齢が若い(手術のリスクが低い)

ラベンダーさんの状態はわからないので何とも言えませんが,私のケースと似ているなら,手術という選択肢もあるかもしれません.

手術についての記事も書いているので,そちらも読んでいただけたらと思います.概要がわかるかと思います.

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