私は,子供の頃から,『キ,シ,チ...』のようなイ段の音や『ケ』のような音をうまく発音することができませんでした.なので,『ぎゅうぎゅう』,『基地』,『時事』のような言葉は基本的に言えませんでした.
私は,イ段の音を発音するときに,口の両端または片端から,空気が漏れるように発音していました.
と〜げ
これを,『側音化構音(そくおんかこうおん)』と呼ぶそうです.
自分でもうまく発音できていないことはわかっていたので,イ段の音が入る言葉を発することが嫌でした.でも,特に治す努力をすることもありませんでした.
20歳のときに,『いいかげん治そう』と思って,ある方法を試したところ,割と簡単に自分で治すことができました.
今回は,私が自分で側音化構音を治した方法を紹介します.
側音化構音とは
改めて,説明しますと,側音化構音とは『機能性構音障害の異常構音に分類されるメカニズムの1つ』です.主にイ段(キ,シ,チ,ニ,リ等)を正しく発音できないものです.
以下サイトの音声例を聴いてみてください.
参考 成人の側音化構音の矯正側音化構音の矯正専門指導―東京発音教室ある論文によると,小学1年生の児童の1%くらいは側音化構音だったという結果が報告されており,必ず一定数は側音化構音の子供がいることになります.
そのため,学校によっては,児童向けの話し方教室を開いている場合もあり,練習すれば,割と簡単に改善することができるみたいです.
しかしながら,大人向けのこのような教室は極めて少ないことと,側音化構音が自然に治ることは基本的にないため,子供の頃に治さなければ,大人になっても側音化構音のままというケースが多いです.
芸能人でも,AKB48の北原里英さんや,スピードワゴンの小沢さんが側音化構音の傾向が見られます.
私も,子供の頃に治す機会がなかったため,大人になっても側音化構音でした.
側音化構音を治そうと思った理由
私は,子供の頃から,側音化構音を自覚(側音化構音という言葉は知らなかったが,イ段が発音できないことは自覚していた)してはいましたが,特に治す努力はしませんでした.
今思うと,周りの子と同じように発音できないことに,もっと悩んでもよかったのでは?と思うのですが,当時は,ほとんど悩んでいませんでした.
別にイ段をうまく発音できなくても,死ぬわけじゃないしと軽く受け止めていました.
しかし,20歳くらいのときに,特にきっかけがあったわけではないのですが,『治そう』と思いました.その理由は以下2つです.
相手に伝わらない
シンプルに,相手に自分が言いたいことが伝わらないことがあります.聞き返されることが多く,コミュニケーションの障害になりつつあると感じていました.
当時は大学生で数年もすれば社会に出るのにこのままで大丈夫か?と,コミュニケーションがスムーズにできない自分がヤバイことに今更ながら気づきました.
『自分の言ったことを,相手が正しく聞き取る』という当たり前のコミュニケーションをできるようにしようと思いました.
コミュニケーションに消極的になる
正しい発音ができないと,自分の発音を笑われたり,バカにされたりします.私はあまり気にしたことがなかったのですが,たまに,凄くムカつくときがありました.
自分の発音をバカにされるという嫌な経験をすると,話すことを怖がるようになり,コミュニケーションが消極的になってしまいます.
『このままではまずい!』と思い学生のうちに治そうと思いました.
側音化構音の治し方
いざ,『側音化構音を治そう!』と思ってはみたものの,治し方がわかりませんでした.とりあえず,自分のようなイ段が発音できないことをネットで検索してみました.
そして,そこで初めて側音化構音という言葉を知りました.
さらに,ネットで検索をすると,側音化構音を自力で治した人のブログ(こちら )を見つけました.そのブログの方法を試した結果,自分で側音化構音を治すことができました.
では,その方法を説明していきます.『キ』を正しく発音する方法です.
まず,同じカ行の『ク』を発音します.
そして,次に『クイ』と発音して,徐々に『クイ』から『クィ』というふうに,『ク』と『イ』を同時に発音するようにしていきます.そして,完全に同時に発音したときの音が『キ』です.
『ク,ク,ク,クイ,クイ,クイ,クィ,クィ,クィ,キ!』という感じで発音していく感じです.
正しく発音できると,いつもの口の端から音が漏れる音(側音化構音)ではなく,上顎と舌の間の真ん中を音が通り抜けていく感覚がわかります.この感覚が一度わかれば,イ段の発音方法が感覚的にわかると思います.
私は,このやり方で,すぐに正しい『キ』の発音ができるようになりました.本当に数分でした.
側音化構音の人は,イ段の『キ』は発音できませんが,『ク』や『イ』の音は正しく発音できる人が多いので,『クイ』→『クィ』→『キ』の練習方法が有効なのだと思います.
ちなみに,『キ』が言えるようになれば,『キェ』と発音する感じで『ケ』も発音できるようになります.
このようにして,他のイ段も正しく発音できます.
- 『クイ』→『クィ』→『キ』
- 『セイ』→『セィ』→『シ』
- 『テイ』→『ティ』→『チ』
- 『ネイ』→『ネィ』→『ニ』
- 『レイ』→『レィ』→『リ』
- 『グイ』→『グィ』→『ギ』
- 『ゼイ』→『ゼィ』→『ジ』
最初に『キ』を正しく発音できれば,他のイ段も割と簡単にできます.一度,発音の仕方がわかれば,あとは練習あるのみです.
私は,家にいるときに,なんとなく,『き』の発音の練習をしたり,普段の会話中に正しく発音するように気を付けながら練習しました.初めの内は,ときどき側音化構音になってしまうことがありましたが,1か月くらいすると,完全に側音化構音が出なくなりました.
一度,正しい発音ができれば,そこからは早かったです.すぐに自然に正しい発音ができるようになりました.
側音化構音のまとめ
- 側音化構音・・・イ段(キ,シ,チ...)を音が口の端から空気が漏れるように発音してしまうこと.
- 『クイ』→『クィ』→『キ』という感じで,発音すると正しい発音ができる.
初めて,『キ』が言えたときは感動しました.少しだけ,話すことが楽しくなります.『もう,イ段を怖がらなくていいんだ!』という気持ちになりました.
私と同じように側音化構音で困っている人は,是非試してみてください.